飲食店の経営者や仕入れ担当者にとって、食材の価格高騰は頭を悩ませる問題のひとつでしょう。特に野菜は、豪雨や猛暑などの天候による影響を受けやすく、価格が高騰しやすい食材です。
本記事では、野菜相場が高騰する原因と、対策について紹介します。ぜひ、野菜の仕入れに役立ててください。
野菜仕入れの相場が高騰する4つの原因
テレビ番組で取り上げられた野菜が人気を博し、店頭から在庫がなくなる事態が起こります。そのようなケースでは、一時的に価格の変動が起こったとしても、さほど大きな影響はありません。
この章では、野菜の相場が高騰する理由について解説します。
基本的には、以下が高騰の理由でしょう。
①天候不順により生産量が不足しているため
供給量が減れば、野菜の価格は高騰しますが、近年ではゲリラ雷雨や猛暑など、天候不順が相次いで発生しています。野菜にとって水分量や日照時間などは生育に大きく影響するため、天候不良が原因の供給量減少は避けられません。
また、地球温暖化問題は世界的な課題ですが、気温上昇で海水温が上がると、台風や豪雨の発生確率が上がるとされています。地球温暖化問題が改善されない限り、今後も天候不順は避けられないでしょう。
②人件費が値上がりしたため
野菜価格の高騰は、野菜の生産・収穫状況のみが原因ではありません。
近年では、少子高齢化社会による労働者の減少で、多くの業種に人出不足が発生しています。新たな人材を確保するためにも、現在の従業員の流出を防ぐためにも、人件費を上げることは避けられません。その結果、生産〜輸送の工程で発生した人件費が野菜の価格に上乗せされる形になっています。
野菜の生産・収穫に問題はないとしても、人件費が多くかかれば、その分野菜の仕入れ値も高くなるでしょう。
③原油が高騰しているため
野菜の輸送はトラックで行うことが一般的であり、輸送にはガソリンが必要です。また、ハウス栽培時に必要な暖房器具、農機具も軽油がなければ稼働できませんが、原油価格は世界的に年々高騰しています。
そのため、国産・外国産に関わらず、野菜の値段に高騰した原油分の費用が上乗せされる形になるため、以前よりも野菜の価格が高騰しています。
④物流が滞っているため
大型地震、台風などが原因の災害や、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による人出不足で、物流が滞っていることも野菜価格高騰の原因です。物流をスムーズに行わなければ、需要と供給のバランスが崩れ、結果的に野菜価格に影響します。
野菜仕入れの相場高騰へ対策する5つの方法
さまざまな理由で、野菜の仕入れ相場は高騰していますが、値段を抑えるためにできる対策にはどのようなものがあるのでしょうか。
この章では、野菜の仕入れ相場高騰への対策について解説します。上手く取り入れて、食材原価を抑えましょう。
①大量発注をかける
野菜を少量ずつ発注するよりも、大量に発注する方が仕入れ価格は安くなります。大手ス-パーでも大量に商品を仕入れることで、販売価格を抑えることに成功していますが、個人経営の場合も考え方は同じです。
受注者からすると、少量ずつ発注されるよりも人件費や輸送費を抑えられるため、その分の値下げを依頼すれば、交渉は成功しやすい傾向にあります。
大量発注する際は長期保存ができる野菜を選び、使いきれるよう計画的に使用しましょう。
②価格変動しづらい野菜を利用する
価格相場が高騰している野菜の中でも、価格が変動しづらい野菜も存在しています。以下の野菜は相場の影響を受けづらく、比較的安く手に入る野菜のため、メニューに取り入れられないか検討してみましょう。
- 芽野菜:もやし、豆苗 など
- 根菜:にんじん、大根 など
- 芋類:じゃがいも、さつまいも など
- きのこ類:しめじ、エリンギ など
これらの野菜は、価格変動を受けづらく、比較的いつでも店頭に並んでいる野菜です。冷凍野菜やカット野菜も利用しながら、メニューを考案しましょう。
③代用の野菜を利用する
仕入れたい野菜が高騰している場合は、別の野菜で代用ができないか検討してみましょう。例えばアスパラガスなら、ブロッコリーと食感や味わいが似ています。その他の野菜なら、以下のような代用が検討できます。
- 白菜 → キャベツ
- ナス → ズッキーニ
- ほうれん草 → 小松菜
- ピーマン → パプリカ
このように、特定の野菜を違う野菜で代用することは可能です。しかし、代用品はあくまで一時しのぎにしかならず、味や質の変化に違和感を覚える常連客もいるでしょう。
「料理の値段は同じなのに、安い野菜を使うようになった」と悪い印象を持たれてしまう可能性もあるため、代用品を使用しても違和感がないかは慎重に検討する必要があります。
④食材のロスを減らす
野菜の仕入れも大切ですが、仕入れた野菜すべてを使いきれているかを確認することも重要です。在庫が多い野菜や傷んでしまって使いきれなかった野菜がある場合、なぜ余ってしまったのか理由を追求することで、仕入れ量を適切に調整できる可能性があります。
できれば食材の棚卸は毎日行い、古い食材から使用することを徹底したり、傷みやすい野菜を優先的に使用したりと、厨房スタッフ全員で食材ロスを減らす取り組みが必要です。従業員の意見も取り入れながら検討してみましょう。
⑤複数業者の依頼を検討する
長年付き合いのある業者から発注している場合、他の業者へ依頼することに罪悪感を感じてしまいますが、複数の業者に見積もりを依頼して、相場を確認することも必要です。検討する際は、金額だけでなく、品質や納期も比較しましょう。
複数の業者に見積もりを取ることで、業者ごとの強みや弱みも把握できます。業者次第で得意な仕入れ商品は異なるため、商品ごとに業者を使い分けることも検討しましょう。
また、複数の業者と取引を行っておくと、万が一トラブルが発生しても別の仕入れ先に依頼できるというメリットがあります。
また、業者間で「A社より安く提供しよう」「B社より品質のよいものを仕入れよう」といった緊張感を与えられるというメリットもあります。
野菜仕入れの業者を選ぶポイント4選
野菜仕入れ業者を選ぶポイントとしては、4つ挙げられます。扱っている種類や価格、品質など、仕入れをする上で必ず確認しておきたいポイントです。以下の点を確認しながら業者を決定しましょう。
①業者が卸売している品の種類を確認する
業者ごとに扱う野菜の種類は異なり、イタリアンや和食を提供する飲食店専用の卸売業者もあります。野菜を専門に扱っている業者もあれば、生鮮食料品以外の調味料や乾物など幅広い商品を取り扱う総合卸業者もあるため、ニーズに合った業者を選択しましょう。
また、旬の野菜は大手のスーパーで購入すると安くなるケースがあります。旬の野菜は、一般の家庭からのニーズも高く、大量に仕入れることで安く提供しています。
仕入れたい野菜ごとに、どの業者から仕入れることが最も安いかを確認しましょう。
②よく仕入れる野菜の価格を比較する
よく仕入れる野菜は、取引数が多くなるため、少しの価格差が仕入れ価格に大きく影響します。「他の野菜を依頼しているから」と安易に決めてしまうと、損をする可能性もあります。よく仕入れる野菜だけは、安く取り扱っている業者に依頼するとよいでしょう。
経営する飲食店が、有機野菜やオーガニック食品を使用しているなど、こだわりを持っているのなら、予算を決めた上で見合う商品を提供する業者を選択します。有機野菜、オーガニック野菜専門の卸売業者もあるため、そのような専門業者に依頼してもよいでしょう。
③仕入れが安定している業者である
業者を選ぶうえで、仕入れが安定している業者かを確認しておきましょう。安定した仕入れを売りにしている業者なら、生産者とのつながりが強く、野菜の高騰や供給数の影響を受けづらいという特徴があります。
また、仕入れる商品をどのように受け取るかも重要です。店舗から業者まで距離が離れている場合、配送してくれるのか、取りにいかなければならないのかで交通費の有無が変わります。
④鮮度・品質が保障されている
価格が安くても、鮮度や品質が悪ければ、よい料理は提供できないため、栄養面や品質にこだわりたいのなら妥協はできないでしょう。
利用者の口コミを調べたり、実際に商品を見せてもらったりしながら、価格と品質を確認しましょう。
まとめ
近年は地球温暖化による天候不良や人手不足など、さまざまな要因が重なることで、野菜価格が高騰しています。
おいしい料理を提供するために品質のよい野菜は欠かせません。仕入れる業者は1か所に絞らず、複数と取引することで安く・安定した仕入れをできるようにしておくことが大切です。
ベジクルでは、首都圏の野菜仕入業者を調査した上で、飲食店経営者へ紹介や提案を行っています。
ベジクルは、産地・市場と強固なネットワークを持ち、野菜相場の高騰の影響を受けにくい仕入れを行っています。
「野菜の仕入れ先を探してコストダウンしたい」「旬の野菜の提案が欲しい」など、お困りごとがあれば、ぜひご相談ください。
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