健康志向で野菜を積極的に摂取されている方が増えている昨今、私たちの知らないところで野菜が大量に廃棄されていることをご存じですか?
この記事では、廃棄野菜の現状と廃棄を少なくするためのさまざまな取り組みについて解説します。
廃棄野菜とは
廃棄野菜は、食品ロスと産地廃棄によって発生します。食品ロスはさらに、事業系食品ロスと家庭系食品ロスに分けられます。
産地廃棄は「畑の食品ロス」とも言われており、野菜の生産農家から出荷されることなく野菜が廃棄されてしまうことを指す言葉です。
食品ロスの現状
⼀般的に⾷品ロスとは、「まだ⾷べられるにも関わらず捨てられてしまう⾷品のこと」を指します。近年は減少傾向にありますが、まだまだ多く、年間約600万トンもの食品が廃棄されています。
食品ロスには、⾷品メーカー・⼩売店、・飲⾷店で発⽣する「事業系⾷品ロス」と ⼀般家庭で発⽣する「家庭系⾷品ロス」がありますが、比率はほぼ1対1です。
廃棄される食品は、1人あたり1日130g、年間では48 kgです。毎日1人あたりお茶碗1杯分の食品を食べずに廃棄しているといえるでしょう。
家庭での食品ロス
家庭で廃棄される食品には、キャベツやレタスのような葉物野菜やきゅうりが多いです。
これは、量が多くて使い切れなかったり、傷みが早いことに起因します。
かさばる野菜は、1度に多くの材料を使えるような調理方法で消費するようにしたり、傷みの早い野菜や果物は、購入したら早いうちに食べるように心がけることでロスを減らせます。
食べきれなかった分を冷蔵庫に入れても、食べ忘れたりして廃棄することになるため、食べ切るようにしましょう。
飲食店での食品ロス
飲食店で発生する食品ロスには、材料の仕入れ過ぎや過剰な仕込み、食べ残しがあります。
材料の仕入れすぎや過剰な仕込みは、来客数が予測できず多めに準備しておこうとすることで起こります。
これを解決するには、以下が重要です。
・食品ロスの量の把握をする
・食材の在庫管理を徹底する
・食材を使い切る工夫をする
作り過ぎてしまった料理は持ち帰り商品として販売したり、アプリを使って欲しい人を募り、安く買い取ってもらうフードシェアリングを利用したりすることで、廃棄を少なくできます。
お客さんの食べ残しを少なくするためには、量を選択式にして注文時に選んでもらったり、そのメニューの量がどの程度なのかを分かりやすくする工夫が必要です。
食品ロスを減らす取り組み
食品ロスを減らす取り組みの中心にあるのが、食品リサイクル法です。
この法律では、循環させる資源として食品を再生し、再利用するための基本方針が示されており、再生利用の量に関する数値目標が定められています。
事業者に対しては、この法律で廃棄する食品の発生量、再生利用の状況を国に報告する義務も制定されています。
しかし、家庭に関してはこの法律の適用外のため、食品ロスを減らすという意識改革が必要です。
規格外野菜とは
野菜の規格は流通を合理化するために、昭和48年に制定されました。
野菜は、サイズや色、形ごとに分類して綺麗に箱詰めされて流通しています。こうすることには、産地間競争で他産地と差別化したり、見栄えをよくしたり、機械調理の際に機械に入れやすく作業効率がよいなどのメリットがあります。
しかし、サイズや形が規格と異なっていたり、傷がついていたりするものがあり、これらを規格外野菜と呼びます。
隠れ食品ロス
規格外野菜は、出荷される前に棄てられてしまうため、食品ロスの統計に含まれません。そのためこうした食品ロスは「隠れ食品ロス」と呼ばれています。
産地廃棄量(未出荷量)は、生産量と出荷量の差で求められます。現在では「隠れ食品ロス」が約400万トンもあり、見過ごすことはできない量だといえるでしょう。
目に見えづらく、問題視されにくいため改善されず、H20年以降の調査でも、この数値はほとんど変化していません。
廃棄される原因
出荷される野菜の品質や規格に合っていないものは出荷ができないため、廃棄されてしまいます。
近年では豪雨災害の発生が増えていますが、直後には病原菌が増加したり、品質が低下したりしてしまうため、災害の影響を受けた作物は廃棄せざるを得なくなってしまいます。
他には、鳥獣被害により生育不良になったり、傷ついてしまったり、収穫前の実を食べられてしまうなどが原因で収穫量が少なくなることもあります。
生産調整による廃棄
人口が減少したことや、加工食品の利用が増えたこと、輸入野菜が増えたことなどが原因で需要が減少し、作付け段階での計画の見直しを必要とされています。
特に、豊作の際には、野菜の需要と供給のバランスが崩れ、余剰分が大量に出てしまいます。
余剰分は市場から隔離されますが、いわゆる出荷待ちの状態で留まります。出荷待ちで保存している間にも、余剰分の野菜は傷んでしまうため、これもフードロスを生む原因だといえるでしょう。
廃棄野菜を減らす取り組み
近年、フードロス問題を重く見た政府は、廃棄野菜を減らすためのさまざまな取り組みを実施しています。
この章では、廃棄される野菜を減らすための取り組みについて解説します。
リサイクル|燃料化・肥料化・飼料化
野菜だけでなく、食品ロス全体に対するリサイクルの方法としては、発電用の燃料にする、有機肥料や家畜の飼料を作るなどの方法が実施されています。
バイオガス発電では、廃棄された食品と家畜の糞尿を混ぜ、食品が細菌に分解・発酵された際に出るメタンガスが、火力発電の燃料として使用されています。
残渣や消化液は有機肥料として使用できるため、土壌の改良に活用可能です。
賞味期限切れの食品や売れ残り、規格外農産物は、家畜の飼料を作る際の材料として利用されています。
規格外野菜をカット野菜に
規格外野菜の新しい活用として、カット野菜を販売する店が増えました。
その背景には、共働きの家庭が増え、仕事から帰ってすぐに食べられたり、簡単に調理に使える食材が求められているという理由があります。
生産農家にとっても、規格外のものは廃棄せざるをえなかったところを、カット野菜用として出荷できるようになったため、安定した収入を得られるという点も大きなメリットです。
共働き家庭以外にも、高齢者のみの世帯や単身世帯でも食べ切れる量だったり、調理の手間が省けたりするという点で大変便利です。
コンビニエンスストアや外食産業、介護食、給食などの業者にも需要があります。
規格外野菜を販売
近年では、規格外の野菜をスーパーや道の駅、直売所などで取り扱う例が増えています。
見た目は悪くても、味や栄養面は企画品と変わらないため、安価で販売したり、サンプルとして配布するなど集客にも使われています。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、インターネット通販が産業として大きくなり始めてからは、規格外野菜をオンラインで販売する業者も現れました。
多く買うと重い野菜を、自宅まで届けてもらえるため、高齢者や子育て中の人に需要があります。
野菜の廃棄を減らすには
フードロスは長年、問題視されており、野菜の廃棄を減らすために、生産者から消費者に届くまでの間でさまざまな工夫がされています。
消費者側ができることは、買いすぎや食べ残しを減らし、家庭系食品ロスを減らすことです。
野菜の保存方法についても今一度見直し、食品を無駄にしないような意識作りを行いましょう。
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