有機野菜は、JASマークと深く関係があります。
そのため、有機野菜について深く知るためには、JAS認証制度とその内容について知る必要があるといえるでしょう。
具体的な内容を解説します。
有機野菜とは?
有機野菜とは、JASの基準と品質の水準を満たした野菜につけられた野菜です。
他にも、オーガニック野菜や特別栽培農産物、無農薬野菜など、有機野菜と似たような言葉も存在します。
有機野菜との違いは一体何なのでしょうか? この章では、それぞれの違いを紹介します。
有機野菜の定義
そもそも「有機野菜」と表示するためには、登録認証機関からの厳正な審査に合格し、JASマークをつけなければなりません。
農林水産省によれば、以下のような野菜が有機JAS規格の基準を設けています。
化学的に合成された化学肥料及び農薬の使用を避けることが原則。やむを得ない場合にのみリスト化されたもののみを使用していること。播種または植え付けの2年以上前から(多年生の作物の場合は収穫の3年以上前)、使用禁止資材を用いていない田んぼや畑で栽培すること。遺伝子組み換えの種苗を使用しないこと。生産から出荷までの記録(生産行程管理記録や格付け記録など)を作成すること。 引用元「農林水産省:有機農産物の日本農林規格 制 定 平成12年 1月20日農林水産省告示第 59号 一部改正 平成15年」 |
有機野菜は、科学肥料や農薬を極力さけるなどの生産過程の安全面だけでなく、自然環境にも配慮した野菜だといえるでしょう。
オーガニック野菜との違い
国内で有機野菜の呼び方の1つとして「オーガニック野菜」が知られています。
オーガニック野菜とは、国際有機農業運動連盟(IFOAM)の基準を満たした野菜で、単純に農薬が極力使われていない安全な野菜というわけではありません。
オーガニックの原則として「健康」「生態系」「公正」「配慮」の4つを掲げ、地球に生きているすべてのものがつながっており、人だけを特別扱いせずに、生態系に配慮しながら公正に栽培することを求めています。
特別栽培農産物との違い
化学肥料不使用な野菜を、JAS基準との混同をさけるために「特別栽培農産物」と呼びます。
特別栽培農産物に係る表示ガイドラインによれば、以下の明確な基準が設けられています。
地域の慣行レベル(各地域の慣行的に行われている節減対象農薬及び化学肥料の使用状況)に比べた場合節減対象農薬の使用回数が50%以下化学肥料の窒素成分量が50%以下 参考:特別栽培農産物に係る表示ガイドライン |
基準の上で特別栽培農産物は、有機肥料を使い、農薬の使用量を一定以下に押さえた野菜を指しており、生産者はこだわりと丹精を込めて野菜を作っています。
無農薬野菜との違い
「無農薬野菜」には、厳格な決まりや基準がなく、無農薬で育てたことを証明できません。
たとえ生産者が無農薬で野菜を育てたとしても、土壌に以前使用した化学肥料が残っていたり、近隣の畑により拡散した農薬がついてしまったりすることも考えられ、残留農薬検査に引っかかってしまうことがあるのです。
消費者に誤解を与えないために「無農薬野菜」という呼び名は使わずに「特別栽培農作物」と表記されます。
JASマークとは?
JASマークがついているものは、野菜だけではありません。有機JAS認証を受けた畜産物や加工品も含まれます。
JASマークは、健康によい農畜産物についているという単純な話ではなく、JASマークの根底にある考えに基づいて制度や基準が設けられているのです。
この章では、JASの認定制度や基準、目的について解説します。
JAS認証制度について
JAS認証制度は、国が農畜産物の品質に明確な基準を設けるために作られました。
農林水産省承認のJAS認証組織が規格に適合しているかを審査し、事業者のサービスや管理方法などがJASに適合していれば、JAS認証を与える仕組みです。
事業者は、申請した後、認証組織から認証を受けられれば、JASマークの使用が認められます。
この制度の本来の目的は、環境や人以外の動植物にも配慮したやさしい農法を目指すことです。単純に身体によいから認証するというわけではなく、生産される過程や流通方法が適正であることを事業者に求めているのです。
ほかには、健康志向の消費者が気になる表記「有機」や「オーガニック」などには、以前は基準が設けられていませんでした。そのため、健康や安全をうたった表記の乱用を防ぐ目的もあります。
有機農産物の基準
有機農産物を生産するために、自然な循環機能を活かしつつ、できるだけ化学肥料や農薬を削減することを基本とします。環境への配慮をした生産でなければ、有機野菜とは名乗れません。
土にいる微生物を使って落ち葉や家畜糞尿を分解した堆肥は、まさに自然の循環機能を活かした自然の肥料です。基本的にはその堆肥で土作りを行い、農薬や化学肥料の使用は原則使用禁止の決まりがあります。
JASマークの目的
安全な野菜を選びたくとも、消費者に誤解を与える表記であったり、ルールが不明瞭で混乱を与えていたりしたことから、JASマークを設けて厳格な基準ができあがりました。今では、「有機野菜」「オーガニック」と表記できるのは、認証を受けた事業者だけです。
一度認証を受けた事業者でも、毎年審査を受けるために労力と費用をかけて、安全で安心な野菜を育てています。特に無農薬にこだわって作った農産物は、ルールに従ってその旨を提示してよいと定められています。
JAS認定を受ける流れ
JAS認定を受けるための流れについては以下の通りです。
1.JAS規格にあっているのかを確認
2.申請書をJAS認定機関に提出
3.JAS認定審査員が書類審査と実地審査を実施
4.JAS認定機関から認定書が送付
5.JASマークの使用可能
参照・農林水産省「JAS認証スタートガイド」
JAS認定の準備をするために、講習会を行っているときもあります。効率的に取得するためにも利用したほうがよいでしょう。
有機野菜について、よくある間違い
有機野菜は、そのネームバリューから、さまざまな誤解を受けています。
この章では、有機野菜のよくある間違いについて、詳しく解説します。
身体によい、健康的である
有機野菜は、身体によくて健康的であるという印象が強いことでしょう。
土作りからこだわり、農薬を極力使わないような基準があるため全くの間違いではないが、有機野菜とはあくまでも環境に配慮した野菜作りということが原則です。有機栽培と健康的側面が必ずしも一致しないということは覚えておきましょう。
有機野菜は無農薬である
有機野菜は無農薬であるということは、よくある誤解です。農薬は極力使わないことを基本としていますが、JASが認めた種類の農薬なら使用可能です。
身体への悪影響を考えて、無農薬野菜を選びたい場合には、有機野菜ではなく「特別栽培農作物」と表示されたものを選ぶ方が間違いありません。
JASマークがなくても
JASマークがなくても、紛らわしい表現には騙されないように気をつけましょう。JASマークは、厳しい審査をくぐり抜けた認定事業者にのみ許された表記マークです。
反対にいえば、JASマークがないのに「有機野菜」「オーガニック」と標榜することは違法となるため、もしJAS規格から外れた場合には表示を取り消さなければなりません。違反した場合には懲役や罰金があるため、JASマークは慎重に扱うべきだといえます。
有機加工食品について
有機野菜の含有量が95%以上ある加工食品にも「有機」とつけられ、JASマークの表示がなくとも、記載が許されています。
たとえば有機大豆使用しょうゆ、有機トマトケチャップなどがあります。
「有機」「オーガニック」の表記が認められているのは認定業者だけですが、紛らわしい表現を使って消費者を誘うこともあるため、加工食品に関しては、事前に公式サイトを確認して安全を確かめましょう。
有機野菜|通販で買うポイント
環境や健康に配慮した有機野菜を通販で買えれば、仕入れの効率があげられます。しかし、多くの通販サイトで有機野菜の購入ができるため、どこでどのように買えばよいか迷ってしまうでしょう。
この章では、通販で有機野菜を買うためのポイントについて解説します。
JASマークの有無
「JASマーク」の有無は大前提として確認しましょう。
有機野菜の「有機」という表記は、JASの認定業者しか表記できないためです。同じように、「無農薬」「減農薬」などの表記があったとしても、JASマークがなければ疑ってかかる方がよいでしょう。JASマークなしに「有機野菜」「オーガニック」「無農薬」などと表記することは違法です。
紛らわしい表記に惑わされず、「JASマーク」を間違いなく確認しましょう。
生産者が見えるか
顔が見えない通販で買う場合でも「生産者」が誰であるのか、明記した有機野菜を選びましょう。生産者の写真や名前が分かる有機野菜は、丁寧に育て上げられ、自信を持って出荷されていることがわかります。
名前だけでは安全性が高いとは言い切れず、不安を感じるのであれば、SNSで確認するという方法もあります。情報発信している農家なら、生産方法やその野菜にあった調理方法まで教えて貰える可能性もあるでしょう。
自社配送の有無
野菜は鮮度を保つことも大切であるため、自社発送の有無を確認した方がよいでしょう。
全国通販の場合、自社配送は難しい場合がありますが、配送スピードが早ければ問題はありません。注文してから発送までが早ければ早いほど、消費者としても柔軟に利用ができます。
保存状態や品質にも注意
有機野菜には保存がきかない場合もあり、届いた野菜がしなびていては、せっかくの有機野菜が台無しです。口コミを確認し、きちんとした状態で届くのかを確認しましょう。
また、届く野菜の品質管理がきちんとされているのかの確認も大切です。生産地や生産過程での農薬の有無、遺伝子組み換えなど、どのように生産者を選び品質の保証をしているのかなどは、通販サイトごとに変わります。管理に安心できる通販サイトを選びたいものです。
有機野菜|業務用仕入れについて
飲食店を経営している場合、有機野菜を業務用に仕入れることもあるのではないでしょうか。
そのため、この章では有機野菜を業務用に仕入れる方法について紹介します。
産直も増えている
産地直送の野菜仕入れ業者を選ぶのもよいでしょう。作られた生産地から青果店やスーパーなどの集荷場に経由することが一般的です。しかし、産地直送にすれば、農家から直接送られてくるため、新鮮な野菜を手に入れられます。
産直市場に出向き、こだわりの農家を見つけられれば、有機野菜の仕入れが可能です。
野菜のこだわりは直接相談
信頼できる農家を見つけたのであれば、直接契約を考慮しましょう。
生産者がはっきりしている状態であれば、有機野菜のこだわりを直接伝えることができ、仕入れの仕方や量などの交渉もスムーズに進むでしょう。
納入の経路や配送方法にも考慮する
豊饒な土で育ち品質がよい有機野菜でも、それを保持することは案外難しいといえるでしょう。
仕入れ時に合わせて考えるべきは、納入経路や在庫の保管方法です。野菜の新鮮さを保てるよう考慮することをおすすめします。
まとめ
本記事では、有機野菜について具体的に解説しました。
JASマークは環境に配慮した生産過程や流通システムなど管理体制にも気を配り、品質の高さを物語っています。
生産者が労力と費用をかけ、こだわりぬいた野菜の生産者と直接相談できれば、業務用の仕入れが可能です。
有機野菜の意味をよく知って、賢い選択をしましょう。
ベジクルは、創業70年以上の歴史と実績を誇り、全国100社以上の提携パートナー企業と連携しています。
有機野菜や特別栽培・オーガニック野菜は生産量が多くないため安定入荷しにくいですが、ベジクルならこれらの野菜も安定供給できます。ベジクルがサポートすることで、有機野菜だけを揃えたメニュー作りも可能です。
有機野菜についてお困りごとがあれば、ぜひご相談ください。
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